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実家の犬の話をします

実家の犬が亡くなりました。
週末の22時頃、同僚たちと居酒屋で飲んでいたら母からLINEがきました。
「犬が病気になった」との内容でした。
もう13歳でしたし、脚も弱っていたので病気くらいなって当然かと思いながら席を外して母に電話をしました。
私は犬が治る病気なのか問いましたが、母は私が飲み会の途中だということを気にして「また電話するね」と言い、電話を切りました。
その後席に戻り、また同僚との彼氏欲しいよねだの仕事しんどいよねという下らない会話に参加しました。
どうしても犬のことが気がかりでしたが実家は徳島で私は神奈川にいるのですぐに帰れる距離でもなく、深夜に新幹線が動いているわけでもないので来週には一度帰ろうかなと考えながらその日は帰って寝ました。
翌朝、父からの電話で目を覚ましました。
父とは滅多なことがない限り連絡をとらないので嫌な予感がしました。
案の定、深夜に亡くなったとの連絡でした。
電話の奥で母は泣いていました。
病気だと聞いて一晩しか経っていないので悲しさはあまりありませんでした。
死んだって言ってるのだから本当なんだろうけど、顔を見るまでは実感が湧かないなとそればかり考えていました。
丁度三連休で次の日も休みだったので急遽実家に帰りました。
朝の8時に家を出ましたが、実家に着いたのは夕方の5時でした。
家は施錠されており、父、母、姉は出かけているようでした。
正直犬と2人きりにしてほしかったのでホッとしました。
庭先でいつも出迎えてくれた犬はそこにおらず、空っぽの犬小屋を横目に家に入りました。
裏口の鍵を開けていてくれていたのでそこから入り、リビングを通り玄関にいくと犬が横たわっていました。
私が子供の頃使っていたタオルの上で静かに眠っていました。
玄関は暗く、犬特有の獣臭さが香り、私が13年間大好きだった可愛い姿がぼんやりと見えました。
撫でてみると毛は柔らかく、その下はひんやりと固くなっていました。
遺体が腐らないようにお腹の下には保冷剤が敷き詰められていました。
目は半開きで、口とお尻の周りの毛は赤茶色く汚れていました。
まだ実感は湧きませんでした。
何よりも、久しぶりに会えてよかったと思いました。
数十分後、母が帰ってきました。
買い物に行っていたようでした。
玄関を開けると私がいることに少しだけ驚き、何事もなかったかのように犬に向かって「ただいま」と甘く優しい声色で話しかけていました。
犬は急性の腎臓病だそうで、発症してから3日ほどで亡くなってしまったと後から聞きました。
病院で点滴をしてもらうときにとても怯えていたこと、亡くなる間際はヨロヨロになりながら外に出たがり、庭の畑に連れて行ったことを母は教えてくれました。
確かに体には小さな虫がついていて、散歩帰りの草まみれの犬を思い出しました。
ウェットティッシュで口元と体を少し拭いてみましたが、汚れは落ちませんでした。
でも私が見てきたどんなモデル犬よりも、そこで横たわっている13年間家族だった犬が一番綺麗で可愛く、愛おしく見えました。
次の日は近所のペット葬祭所でお葬式を開いてくれました。
庭か山に埋めると思っていたので、手元に骨が残るのは少し嬉しかったです。
車で行くと葬祭所の方が出迎えてくれました。
ゴリゴリの方言を使われる方で、久しぶりの地元を感じました。
タオルに包んだ犬をお渡しすると、向こうの方は「寝ているみたいね」と言いました。
恐らく色んな方に言っている決まり文句だと思うのですが、そのとき初めて犬が死んだんだと実感して悲しくなりました。
前日コンビニでプリントした笑顔の犬の写真を立ててもらい、読経しました。
火葬の前の最後のお別れで首輪を外しました。
普段ほとんど泣かない両親と姉が犬を撫でながら泣いていました。
寝ている犬はとても美人でした。
火葬時間は中型犬なので少し時間がかかりました。
待ち時間、他のご家族と待合室が被りましたが父親の知り合いとのことで世間の狭さを実感しました。
田舎なので20歳前後の女は少し珍しいのか、かなりオーバーに社交辞令を頂き気恥ずかしくなりました。
火葬が終わり、残った骨の説明をしてもらいました。
歯磨きなんか一度か二度くらいしかしませんでしが歯が綺麗に残っていました。
それにたまにヨロヨロしていた後ろ脚も骨はほとんど原型をとどめていました。
元々小さかった顔はもっと小さくなっていました。
ピンク色の骨壺包みを用意していただき、無事に全てが終わりました。
外に出ると前日の曇り空とはうって変わって快晴で、心地よい気温でした。
夏場の蒸し暑いときでもなく、冬場の凍えるようなときっでもなく、春先の心地よい季節に、しかも私が帰省できるタイミングで逝った私の犬はなんだか色々ツイているのではないでしょうか。
友達がいなくても犬が居たので楽しい日々を過ごせました。
バイトで辛い思いをしても心から癒してもらえました。
狸は犬が苦手なので畑に寄り付くのを防いでくれました。
素敵な思いをさせてもらえて私は幸せでした。
怒涛の週末が終わり、またいつもの生活です。

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